AIクローラーとは、AI関連の用途に向けてWebコンテンツを自動的に発見・取得するプログラムです。主な用途には、モデルのトレーニング、AI検索、情報検索、AIアシスタントによる回答生成などがあります。
2025年、CDNetworksでは1日あたり約164万件のAIボットリクエストを観測しており、そのうち72.67%がデータスクレイピングおよびコンテンツ取得に関連していました。
企業にとって重要なのは、AIクローラーを単純に「良い」「悪い」と判断することではありません。クローラーごとに目的が異なるため、アクセスを許可するかどうかは、クローラーの識別情報、アクセス意図、挙動、コンテンツの機密性、そしてビジネス上の価値を踏まえて判断する必要があります。
AIクローラーとは?
AIクローラー(AI crawler)は、AI WebクローラーやLLMクローラーとも呼ばれ、AIシステムがコンテンツを発見、収集、インデックス化、または取得するためにWebサイトへアクセスするボットです。
技術的には、AIクローラーは従来のWebクローラーとよく似た仕組みで動作します。HTTPリクエストを送信し、リンクをたどり、リソースを取得して、返されたコンテンツを処理します。主な違いは、そのコンテンツが最終的にどのような目的で利用される可能性があるかという点です。たとえば、モデル開発、AI検索、リアルタイムの情報取得、AIアシスタントによるユーザー要求への対応などが挙げられます。
AIクローラーの仕組み
AIクローラーは通常、URLを発見し、Webリソースをリクエストし、アクセス可能なコンテンツを処理したうえで、関連情報をAIシステムに送信します。クロール頻度、クロール範囲、目的、Webサイト側のアクセス指示への対応方法は、プロバイダーによって異なります。
AIクローラーと従来のWebクローラーの違い
従来の検索クローラーは、主に通常の検索結果に表示するページを発見し、インデックス化するために使用されます。一方、AIクローラーボットは、モデル開発、AI検索、ユーザー要求に応じた情報取得など、より幅広い用途に利用される場合があります。
| クローラーの種類 | 主な用途 | 例 |
|---|---|---|
| 検索クローラー | 検索用のインデックス作成とコンテンツ発見 | Googlebot |
| AIトレーニングクローラー | モデルの開発または改善 | GPTBot、ClaudeBot |
| AI検索クローラー | AI検索向けのコンテンツ発見とインデックス作成 | OAI-SearchBot、Claude-SearchBot |
| ユーザー起点の取得ボット | ユーザーの要求に応じてコンテンツを取得 | Claude-User、Perplexity-User |
OpenAIはGPTBotとOAI-SearchBotを区別しており、Webサイト運営者は、モデルのトレーニングに利用される可能性のあるアクセスと、ChatGPT検索でのコンテンツ表示を個別に管理できます。Anthropicも同様に、ClaudeBot、Claude-SearchBot、Claude-Userを区別しています。
AIクローラーの主な種類
AIトレーニングクローラー
AIトレーニングクローラーは、モデルの開発や改善に利用される可能性のあるWebコンテンツを収集します。著作権で保護されたコンテンツ、独自コンテンツ、ライセンスコンテンツ、または商業上機密性の高いコンテンツが含まれる場合、企業はこうしたクローラーへのアクセスを制限することがあります。
AI検索クローラー
AI検索クローラーは、AIを活用した検索や回答生成サービスで利用するために、コンテンツを発見しインデックス化します。そのため、こうしたクローラーをブロックすると、AI検索におけるコンテンツの発見性に影響する可能性があります。OpenAIは、ChatGPT検索の要約やスニペットにコンテンツを表示させたい場合、Webサイト運営者はOAI-SearchBotのアクセスを許可する必要があると説明しています。
ユーザー起点の取得ボット
ユーザー起点のボットは、継続的にWeb全体をクロールするのではなく、特定のユーザー操作に応じてコンテンツを取得します。AnthropicはClaude-Userを、検索用およびトレーニング関連のクローラーとは別に文書化しています。また、PerplexityもPerplexity-UserとPerplexityBotを区別しています。
データスクレイパーと未検証ボット
すべての自動リクエストで、送信元や目的が明確になっているとは限りません。CDNetworksでは、AIボットの活動をデータスクレイパー、アシスタント/エージェント、検索クローラー、未検証エージェントに分類しており、自動アクセスの背後にあるさまざまな意図を反映しています。
代表的なAIクローラーとその用途
| プロバイダー | クローラー | 主な用途 |
|---|---|---|
| OpenAI | GPTBot | モデルのトレーニングに利用される可能性 |
| OpenAI | OAI-SearchBot | ChatGPT検索 |
| Anthropic | ClaudeBot | モデル開発 |
| Anthropic | Claude-SearchBot | AI検索 |
| Anthropic | Claude-User | ユーザー起点のコンテンツ取得 |
| Perplexity | PerplexityBot | 検索向けコンテンツ発見 |
| Perplexity | Perplexity-User | ユーザー起点のコンテンツ取得 |
クローラーのポリシーやネットワーク情報は変更される可能性があるため、企業は許可ルールやブロックルールを作成する前に、各プロバイダーの最新ドキュメントを参照してクローラーの識別情報を確認する必要があります。たとえばPerplexityは、PerplexityBotとPerplexity-Userについて、それぞれ別のIPアドレス範囲を公開しています。
CDNetworksプラットフォームの観測データでは、2025年に最も多く検出されたAIボットのカテゴリーを示しています。表示されているボット名はCDNetworks独自のトラフィック分類に基づいており、各プロバイダーの正式なUser-Agent名と必ずしも一致するとは限りません。

AIクローラーが企業にもたらすリスクとは?
AIクローラーは、コンテンツの発見やAI検索での露出を通じて企業に価値をもたらす一方、適切に管理されていないアクセスはビジネス上のリスクにもつながります。
コンテンツと知的財産。 大規模なスクレイピングによって、著作権で保護されたコンテンツ、ライセンスコンテンツ、有料コンテンツ、独自コンテンツなどが収集され、本来想定していた範囲を超えて再利用される可能性があります。
インフラコスト。 過剰なクロールは、帯域幅、オリジンサーバーのリソース、API容量、アプリケーション処理リソースを大量に消費する可能性があります。特に動的ページでは、その影響が大きくなる場合があります。
トラフィック品質。 自動化されたリクエストが分析データに混在すると、実際のユーザーニーズと機械生成トラフィックを区別しにくくなる可能性があります。
可視性と制御のバランス。 AIクローラーを一律にブロックすると、AIを活用した検索やコンテンツ発見における露出が低下する可能性があります。一方で、無制限にアクセスを許可すると、企業が意図した以上のコンテンツへのアクセスを許してしまう可能性があります。
こうしたトレードオフは、コンテンツそのものが商業資産となる出版業界やデジタルコンテンツ事業者にとって特に重要です。CDNetworksのある導入事例では、ライセンス型デジタルコンテンツプラットフォームが、著作権で保護されたメディア資産の防御を強化しながら、1日1,000万件を超える悪意あるクローラーリクエストをブロックしました。
AIクローラーは許可すべきか、ブロックすべきか?
すべてのAIクローラーに適用できる一律の許可・ブロック方針はありません。より効果的なのは、クローラーの識別情報、目的、挙動、アクセス対象のコンテンツ、そしてビジネス上の価値を総合的に評価することです。
| 状況 | 一般的な対応 |
|---|---|
| 検証済みのAI検索クローラー | 許可または監視 |
| AIトレーニングクローラー | コンテンツおよび知的財産ポリシーに基づいて判断 |
| ユーザー起点のコンテンツ取得 | ビジネス価値と対象エンドポイントを評価 |
| 正規のクローラーだがアクセス量が過剰 | レート制限を適用 |
| 不明または偽装された自動化トラフィック | 検証、チャレンジ、またはアクセス制限 |
| 無許可のスクレイピング | ブロック |
このアプローチは、すべての自動化トラフィックを一括して扱うのではなく、リスクやコンテキストに応じて制御する現代的なボット管理の考え方を反映しています。CDNetworksの2025年の調査結果でも、識別情報、アクセス意図、コンテンツの機密性、アクセス頻度、ビジネスへの影響を考慮することが推奨されています。
AIクローラーを検出する方法
AIクローラーの検出では、識別情報と行動特性を組み合わせて判断することが重要です。
User-Agentによる識別
既知のUser-Agent文字列は、クローラーの識別情報を判断する最初の手がかりになります。ただし、HTTPヘッダーは偽装できるため、User-Agentだけを確実な証拠として扱うべきではありません。
IPアドレスとネットワーク情報の検証
プロバイダーがネットワーク情報を公開している場合、IPアドレスの検証によって正規のクローラートラフィックかどうかを確認しやすくなります。Perplexityは、より確実に検証するため、User-Agentの照合と公開済みIPアドレス範囲を組み合わせることを推奨しています。
行動分析
リクエスト頻度、クロール深度、URLアクセスパターン、セッション動作、ヘッダーの一貫性、高価値リソースへの繰り返しアクセスなどを分析することで、不審または過剰な自動アクセスを特定しやすくなります。
AIクローラーを管理する方法
robots.txtでクローラー向けのアクセス指示を設定する
robots.txtを使用することで、ルールに準拠するクローラーに対してWebサイト側のアクセス方針を伝えることができます。OpenAIとAnthropicはいずれも、robots.txtを使用して各社のクローラーを制御する方法を公式ドキュメントで説明しています。
既知のクローラーを検証する
自動化トラフィックを許可リストに追加する前に、User-Agentと、利用可能なネットワーク情報を検証します。
レート制限を適用する
正規のクローラーであっても、大量のリクエストを生成する可能性があります。レート制限を適用することで、有用なアクセスを維持しながら、アプリケーションやオリジンサーバーのリソースを保護できます。
機密性の高いコンテンツとエンドポイントを保護する
公開すべきでないコンテンツやAPIについては、認証、認可、WAFルール、エンドポイント単位のポリシーを利用することで、より強力なアクセス制御を実現できます。
行動ベースのボット対策を活用する
不明な自動化トラフィック、偽装されたボット、回避行動を行うボットに対しては、静的ルールだけでは十分でない場合があります。行動分析、チャレンジ、リスクベースの対応、適応型の制御を組み合わせることが重要です。
CDNetworksによるAIクローラートラフィック管理
CDNetworksのBot Shieldは、ボットの識別、行動分析、ポリシー適用を組み合わせることで、企業がトラフィックのリスクやビジネス上の目的に応じて異なる制御を適用できるようにします。
エッジでは、既知の自動化トラフィックを識別し、リクエストやセッションの挙動を分析し、柔軟なレート制限を適用できます。また、不審な活動が検出された場合には、チャレンジやブロックを実施することも可能です。さらに、アクセス元、リクエストパス、トラフィック頻度、対象リソースの機密性などの要素に応じてポリシーを調整できます。
これはAIクローラーへの対応において特に重要です。見た目には似た自動リクエストであっても、その実際の用途は大きく異なる可能性があるためです。
コンテンツの発見性向上に貢献する検証済みAI検索クローラーと、有料コンテンツへ繰り返しアクセスする未確認のスクレイパーを、同じ方法で扱うべきではありません。
可視化、識別、行動分析、レート制限、差別化されたポリシー適用を組み合わせることで、CDNetworksは正規のAIによるコンテンツ発見を維持しながら、過剰または無許可の自動アクセスを制限できるよう企業を支援します。
よくある質問
AIクローラーとは何ですか?
AIクローラーとは、AIのトレーニング、検索インデックス、情報取得、AIによる回答生成などの用途に向けて、Webコンテンツを自動的に発見・取得するボットです。
ChatGPTはWebクローラーですか?
ChatGPT自体はWebクローラーではありません。OpenAIは、ChatGPT検索に表示される可能性のあるコンテンツを発見するため、OAI-SearchBotなどの専用クローラーを運用しています。
AIクローラーのアクセスは許可すべきですか?
アクセスを許可するかどうかは、クローラーの識別情報、目的、コンテンツの機密性、挙動、ビジネス上の価値に基づいて判断する必要があります。価値のあるコンテンツ発見につながるアクセスは許可し、望まないモデル学習やスクレイピングは制限し、悪質な自動アクセスはブロックすることが重要です。
robots.txtでAIクローラーをブロックできますか?
robots.txtを使用すると、ルールに準拠するAIクローラーに対して、アクセスを許可するコンテンツや禁止するコンテンツを指定できます。ただし、強制的な保護が必要な場合は、認証、レート制限、WAFポリシー、ボット管理など、より強力な対策を併用する必要があります。
AIクローラーを検出するにはどうすればよいですか?
AIクローラーを検出するには、User-Agentの分析、プロバイダー情報の検証、IPアドレス情報、リクエストパターン、クロール動作、トラフィック頻度、セッションコンテキストなどを組み合わせ、正規のAIクローラーと、偽装または悪用を目的とした自動化トラフィックを識別します。
