中東を代表するライブストリーミングプラットフォームが、CDNetworksとの提携により、主要スポーツイベント開催中も100%のストリーミング配信を維持
背景
お客様は、中東地域で急成長を遂げているインタラクティブエンターテインメントおよびソーシャルライブ配信プラットフォームの一つであり、同地域に大規模かつエンゲージメントの高いアクティブユーザー基盤を有しています。
同社は、確立されたソーシャルライブ配信事業を基盤に、プレミアムライブエンターテインメント分野へと事業を拡大しました。中東地域の主要なサッカートーナメントやチャンピオンシップリーグにおいて、技術面および運用面での配信パートナーとしてサービスを提供しています。
課題
従来のユーザー生成コンテンツ(UGC)のライブ配信と比較して、プレミアムスポーツ中継では、配信インフラに対してはるかに高い性能と信頼性が求められます。試合の重要な場面でわずかなバッファリングや配信の中断、認証エラーが発生するだけでも、視聴者からの信頼を損ない、有料サブスクリプションの価値を低下させるおそれがあります。
拡大するスポーツOTT事業を支えるために、同プラットフォームは以下の4つの主要課題に対応する必要がありました。
1. 複雑なネットワーク経路と現地ISPのボトルネックによる配信安定性への影響
中東地域には多様なインターネットサービスプロバイダー(ISP)のネットワークが存在し、ライブ配信トラフィックが非効率な国際経路を経由することがありました。その結果、遅延やパケットロスのリスクが高まっていました。さらに、地域ネットワークやルーティングの変動が配信の安定性を脅かし、お客様が指定する現地ISPにおける帯域幅のボトルネックも、試合中の高同時接続トラフィックに対応するうえで大きな負担となっていました。こうした課題は、配信の開始速度、再生の継続性、リアルタイムの視聴品質に影響を及ぼす可能性がありました。
2. 試合開催時のトラフィック急増による容量への大きな負荷
比較的安定した通常の動画トラフィックとは異なり、スポーツのライブ配信では、突発的なトラフィックの急増が発生します。試合開始時には帯域幅の需要が瞬時に数百Gbpsに達し、試合終了後には通常の水準まで急速に低下することがあります。さらに、試合は地域の視聴ピーク時間帯と重なることが多いため、プラットフォームには、パケットロスやルーティングの不安定化、再生中断を引き起こすことなく、こうした急激なトラフィック増加に対応する能力が求められていました。
3. 多様なデバイスと配信プロトコルへの対応による複雑性の増大
ネイティブモバイルアプリ、Webブラウザ、スマートテレビなど、さまざまなデバイスで一貫した再生品質を提供することも課題でした。各環境では異なるストリーミング要件への対応が必要となります。モバイルアプリでは低遅延が求められるHTTP-FLVが使用される一方、Webブラウザやスマートテレビでは、アダプティブビットレート配信に対応したHLSやDASHが必要でした。さらに、ネットワーク状況が異なる環境で1080p、2K、4Kの動画配信に対応することが、安定した視聴体験の提供を一層難しくしていました。
4. 認証、フェイルオーバー、DRM要件による技術的な複雑性
プレミアムスポーツコンテンツを保護するため、同プラットフォームでは動的なストリーム認証と独自のデジタル著作権管理(DRM)方式を採用していました。しかし、そのライブ配信アーキテクチャには、再生の信頼性を損なう可能性のある複数の技術的課題が存在していました。
-
保護対象のすべての再生リクエストについて、プラットフォームの中央認可サービスによるリアルタイム検証が必要であり、トラフィックのピーク時には再生開始の遅延につながるリスクがありました。
-
HTTP 302リダイレクトで使用される有効期間の短い暗号化トークンは、リクエストの再試行中に期限切れとなる可能性があり、オリジンサーバーによるリクエスト拒否や再生中断の原因となり得ました。
-
HTTP 404レスポンスは、オリジンサーバーの障害ではなく、ストリームが存在しない、または配信が終了したことを示す場合があります。このような状況で不要なフェイルオーバーを実行すると、バックアップオリジンへの過剰な再試行トラフィックが発生するおそれがありました。
-
DRMの復号には、メタデータの完全性と正しい順序を維持し、動画のキーフレームと適切に対応させることが不可欠です。これらに問題が生じると、再生エラーや映像の破損につながる可能性がありました。
大規模なライブ配信環境でこれらの要件に対応することは、CDN配信の複雑性をさらに高めます。適切に処理できない場合、試合の重要な場面で再生中断、オリジンサーバーの負荷増大、配信遅延などが発生するリスクがありました。
ソリューション
厳しいスポーツ中継要件に対応するため、CDNetworksは以下の3つの強みを組み合わせた包括的なソリューションを提供しました。
- 中東地域を広くカバーするネットワークインフラと現地ISPとの直接接続(中東地域におけるネットワークカバレッジ100%)
- カスタマイズされたメディア配信およびEdge Applicationソリューション
- 専任チームによる24時間365日の大規模イベントサポート
これらの機能を組み合わせることで、CDNetworksはお客様が大規模なスポーツライブ配信において、安定性、安全性、放送品質を兼ね備えたサービスを提供できるよう支援しました。


1. 地域ネットワークリソースを活用し、大規模かつ安定した低遅延ライブ配信を実現
中東地域の大規模なスポーツライブ配信視聴者に対応するため、CDNetworksは地域ネットワークリソース、インテリジェントなトラフィック管理、事前のキャパシティプランニングを組み合わせ、ネットワーク遅延の低減と視聴需要の急増への対応を実現しました。
-
現地ISPとのピアリングによるネットワーク遅延の低減: CDNetworksは、中東地域のエッジネットワークと、現地の主要通信事業者およびISPとの直接ピアリングを活用することで、不要な国際経路への迂回を削減し、対応する配信経路における現地ネットワークの往復遅延時間(RTT)を15ms未満に抑えました。 また、幅広い現地ISPとの接続に加え、お客様が指定する優先度の高いISPに対して高同時接続に対応した帯域幅を確保し、主要試合中のローカルネットワークにおける容量のボトルネック解消を支援しました。
-
インテリジェントルーティングによるピークトラフィック時の高可用性の維持: 世界3,000以上のPoPで構成されるCDNetworksのグローバルインフラを基盤として、遅延の影響を受けやすいスポーツライブ配信トラフィックには、現地PoPを優先的に使用しました。ローカルの処理容量が事前に設定されたしきい値に近づくと、インテリジェントルーティングにより、リアルタイムの容量、経路品質、配信ポリシーに基づいて、対象となる超過トラフィックを近隣地域のPoPへ振り分けました。これにより、視聴需要が急増した場合でも、安定したコンテンツ配信を維持できるようになりました。
-
事前のキャパシティ確保による試合当日のトラフィック急増への対応: 重要な試合時間帯に先立ち、CDNetworksはバーストトラフィックに対応する専用の帯域リソースを事前に確保し、動的なエッジ負荷分散を設定しました。これにより、急激なトラフィック増加を吸収しながら、途切れのないライブ再生を支援しました。
2. ライブ配信高速化により、ネットワークやデバイスを問わず再生品質を最適化
ネットワークレベルでのトラフィック管理に加え、CDNetworksはMedia Acceleration Live Broadcast(ライブ配信高速化)(MALB)ソリューションを通じて、さまざまなデバイスで一貫したライブ配信品質を維持できるよう支援しました。
-
メディア配信のチューニングによるストリーミング安定性の向上: 20年以上にわたるストリーミング技術の専門知識を活かし、CDNetworksはサーバー側のカーネルに対する高度なチューニング、動的な輻輳制御、インテリジェントなネットワークリレーを適用することで、変動するネットワーク環境下でも安定した配信を実現しました。
-
伝送最適化によるストリーミング効率の向上: 検証済みの配信経路およびネットワーク条件において、最適化された配信アーキテクチャにより、TCP/HTTPの伝送効率が30~130%向上しました。 これにより、スループットの改善と、より応答性の高いライブ再生を支援しました。
-
マルチプロトコル配信によるデバイス間の高品質な再生: モバイルアプリ向けには低遅延のHTTP-FLVを提供し、スマートテレビやWebブラウザ向けにはHLSおよびDASHを同時にサポートしました。さらに、アダプティブビットレート配信により、1080p、2K、4Kの各画質に対応しました。
3. カスタマイズされたエッジアプリケーションロジックで、安全なストリームアクセスと安定した再生を実現
認証、オリジンのフェイルオーバー、DRMに関するお客様固有の要件に対応するため、CDNetworksはカスタマイズされたEdge Applicationロジックを実装し、プレミアムスポーツコンテンツの保護と安定した再生の両立を図りました。


-
リアルタイムの再生認可によるストリームアクセスの保護: CDNetworksは、カスタマイズされたEdge Applicationロジックにより、ストリームの配信前に必要なクライアントリクエスト情報をお客様の認可サービスへ転送し、検証を実施しました。エッジでは検証結果に応じて再生リクエストをリアルタイムで許可または拒否することで、正規ユーザーの再生開始時間に実質的な遅延を生じさせることなく、保護対象ストリームへのアクセス制御を実現しました。
-
HTTP 302トークンの動的な再署名による認証関連の再生エラー防止: CDNからプライマリオリジンへのリクエストに対し、保護された下流URLへのHTTP 302リダイレクトが返された場合、CDNetworksのエッジロジックはリダイレクトURLをリアルタイムで解析し、下流へのリクエストを開始する前に、有効期限のある認証パラメータを再生成します。これにより、再試行時にも有効な認証情報を使用でき、期限切れのリダイレクト認証情報に起因する再生エラーの防止に役立ちました。
-
HTTP 404を考慮したフェイルオーバー制御により、不要なオリジンへの再試行を防止: CDNetworksは、オリジンからのレスポンスに応じてフェイルオーバーの動作を切り替える仕組みを導入しました。プライマリオリジンがHTTP 404(ストリームが存在しない、または配信終了)を返した場合、エッジはそのレスポンスをキャッシュし、フェイルオーバー処理を終了します。バックアップオリジンへの切り替えは、ソケット接続の失敗またはHTTP 5xxのサーバーエラーが発生した場合に限定することで、連鎖的なバックアップオリジンへの再試行を防止しました。
-
DRMメタデータの保持による確実な復号と再生の実現: CDNetworksは、必要なFLV/RTMPメタデータをフィルタリング、結合、変更することなく元の順序で保持し、対応するキーフレームより前に配置されるようにしました。また、配信元のタイムスタンプを維持することで、検証済みのワークフローにおける安定した復号処理と継続的な再生を支援しました。
4. 24時間365日の大規模イベントサポートでライブ配信の信頼性を強化
CDNetworksは、ネットワークおよびストリーミング配信機能に加え、重要な大会の試合時間帯に専任チームによる技術サポートとリアルタイムの配信監視を提供し、ライブ配信の信頼性をさらに高めました。
-
24時間365日対応の専任エキスパートチーム: 経験豊富なライブ配信の専門家、ネットワーク伝送アーキテクト、技術エンジニアで構成される専任チームを配置しました。タイムゾーンをまたぐ24時間体制のシフト運用により、重要な試合時間帯を通じて継続的な技術サポートを提供しました。
-
リアルタイムの配信状態監視: CDNetworksは、カスタマイズされたテレメトリダッシュボードを導入し、エッジでのトラフィックオフロード状況、ストリームのビットレート安定性、ISPごとのパケットロス、フレームドロップなどの主要指標を秒単位で監視できるようにしました。
成果とメリット
CDNetworksの包括的なソリューションにより、お客様は主要なスポーツ大会において、配信の可用性、再生品質、運用上の信頼性を向上させ、以下の定量的な成果を達成しました。
監視対象の試合時間帯でストリーム可用性100%を達成
ローカライズされた配信経路、イベント前のキャパシティプランニング、インテリジェントなトラフィックスケジューリングにより、監視対象となった試合時間帯を通じて**ストリーム可用性100%**を維持し、急激なトラフィック増加にも安定して対応しました。
クライアント側のライブ配信のカクつき率を1.0%未満に抑制
不要な国際経路への迂回を削減し、現地ネットワークの配信経路を最適化することで、CDNetworksは視聴ピーク時におけるクライアント側のライブ配信のカクつき率を1.0%未満に抑えることに貢献しました。
現地ネットワークの往復遅延時間を15ms未満に短縮
ローカライズされた配信アーキテクチャにより、不要な長距離ルーティングを削減し、対応する配信経路において現地ネットワークの往復遅延時間(RTT)を15ms未満に抑えました。これにより、高ビットレートのライブストリーミングをより低遅延かつ安定して提供するためのネットワーク基盤を強化しました。
HTTP 404を起因とするバックアップオリジンへの再試行を100%排除
CDNetworksは、レスポンスに応じたオリジンリクエスト処理を実装し、トラフィックのピーク時におけるプラットフォームのバックエンドを保護しました。配信が停止または終了したストリームに対してHTTP 404が返された場合、エッジはバックアップオリジンへの再試行を行わず、そのリクエストを終了します。これにより、HTTP 404を起因とするバックアップオリジンへの再試行を100%排除しました。また、有効期限のあるHTTP 302リダイレクトについては、リダイレクト先への再試行前に必要な認証パラメータを再生成することで、有効なオリジンアクセスと安定した再生を支援しました。
独自DRMの復号処理で100%の信頼性を達成
メタデータを元の順序で透過的に転送し、キーフレームとの整合性を維持するとともに、配信元のタイムスタンプを保持することで、CDNetworksは検証済みの再生セッションにおいて独自DRMの復号処理で100%の信頼性を達成しました。検証対象の範囲内では、メタデータに起因する映像の破損や再生中断を解消しました。
今後の展望
ライブイベントでの導入成功を受け、同プラットフォームは、プレミアムライブエンターテインメント事業のさらなる成長に向けて、CDNetworksとの協力関係を拡大しています。
今後は、現地ネットワークの処理容量を一層強化するとともに、エッジでのストリーム処理ロジックの最適化を進め、高度な監視機能と配信機能を拡充することで、さらに高度で要求の厳しいライブ配信シナリオへの対応を目指します。
業界
メディア・エンターテインメント / スポーツOTT
ソリューション
主な効果
- 監視対象の試合時間帯でストリーム可用性100%を達成
- 大会の視聴ピーク時におけるクライアント側のライブ配信のカクつき率を1.0%未満に抑制
- 対応する配信経路における現地ネットワークの往復遅延時間(RTT)を15ms未満に短縮
- 検証済みの再生セッションにおいて独自DRMの復号処理で100%の信頼性を達成
- HTTP 404を起因とするバックアップオリジンへの再試行を100%排除
さらに探検する
グローバルなマルチモデルAIプラットフォームがCDNetworksとの連携により、高速かつ信頼性の高いモデル配信を実現
CDNetworksは、グローバルなマルチモデルAIプラットフォームがグローバルな遅延を削減し、高速かつ信頼性の高いマルチモデルAIサービスを提供できるよう支援しました。